8月1日以降 前照灯検査はロービームに完全施行 チェックと調整と整備で、不適合リスクの芽を摘む

ハイビームによる計測は終了
2015年(平成27年)9月1日以降、ヘッドライトテスターを用いた前照灯検査は、検査基準の変更とともに、1998年9月1日以降に製作された自動車について、原則ロービーム(すれ違い前照灯)による計測となりました。しかしながら、当時の車両状態や設備環境では基準を満たさない車両が続出したため、2018年(平成30年)より、過渡期取扱いとしてロービームの計測が困難な場合、ハイビーム(走行用前照灯)による計測も認められてきました。
その過渡期取扱いは2024年(令和6年)7月末で全国一斉に終了する予定となっていましたが、一部の地域で対応の遅れが確認されたため、関東、中部、近畿、四国、九州、沖縄の各運輸支局については2年間の特例で延期されていました。今般、各運輸支局で準備が整ったことから、本年7月をもって過渡期取扱いは撤廃となり、8月1日より、ロービーム計測の完全施行となりました。
レンズの劣化による不適合の懸念
過渡期取扱いに至った経緯の背景として、前照灯検査の検査基準の変更が挙げられます。光量、光軸、色の3つの基準が新たに設けられたことで、光量不足、カットラインの不明瞭など、検査基準を満たさない車両が続出しました。その主要因として、ヘッドライトレンズの劣化が挙げられます。近年、ヘッドライトのレンズに採用されているポリカーボネート樹脂は、経年や車両の使用状況、使用地域、管理状況などに影響を受け、劣化を進行させます。その結果、黄ばみやくもり、表面のひび割れなどの症状が現れることで、ヘッドライトの光量不足、不明瞭なカットラインの原因を招きます。


経年劣化によるヘッドライトレンズの劣化
車齢、使用年数ともに高齢化がさらに進行
また、過渡期取扱いがスタートした当時と比べると、車齢はさらに高齢化が進みました。2025年時における乗用車の平均車齢は9.44年となり、10年前の2015年と比較して1.15年伸長しました。また、貨物車は12.13年に伸び、同1.04年の高齢化となっています。一方、平均使用年数も伸びており、乗用車は0.97年伸びて、13.35年に、貨物車に至っては、2.57年も伸長して、16.29年にまで伸びています。近年顕著になった夏場の暑さなども影響し、ヘッドライトレンズが劣化した車両も増加していることが考えられ、前照灯検査にはさらなる慎重さが求められます。

受入検査でのチェックと整備体制の充実がカギ
そこで重要になるのが、ヘッドライトの入念なチェックと整備体制です。経年により劣化しているヘッドライトレンズや、リフレクターの劣化で配光が適正でないヘッドライト、そしてバルブ交換により発光点が不明瞭となっているヘッドライトは適宜必要な整備や調整を行ったうえでの検査が求められます。例えば、受入検査時にはレンズや、ユニット内部のリフレクターなどの十分な確認が必要です。また、不具合が確認されたヘッドライトレンズに対する、黄ばみやくもりの除去、コーティングなどといった整備メニューや整備体制の確保も重要です。もし、自社で行えない場合は、委託先の確保などの取り組みが求められます。この他、ロービームの基準に適合するための調整も重要な作業のひとつです。

とりわけ、認証工場の場合、検査場から出なおしての再整備と再検査が必要になりますので、細心の注意が必要です。